まさかこのブログでLittle Britainがまた登場するとは思いませんでした。
先日イギリスの国民投票でイギリスのEUから離脱を支持する人が残留派を上回りました。
そしてごたごたごたとした後、今日、国民投票後辞任を表明した現首相のDavid Cameron氏の後任としてドロンジョ様っぽいTheresa May氏が次期首相になることがほぼ決定しました。ちなみにこの方、保守党党首選の候補者の中で唯一「現在イギリスにいるEUからの移民の立場」を保証しかねると言っている方です。(ということは逆も然り)。この様子はイギリスでもアイルランドでもなく某EUのジャイアン国家でずっと伺っておりました。皮肉なものです。我らがジャイ子曰く、EUからの離脱交渉は難しくなるとし、「EUのいいとこ取りだけして嫌な部分を放棄することはできない」とのことです。
私は正直(他人事でもあるので)、国民投票直前イギリスは離脱するだろうと思っていましたが、その後のゴタゴタについては全く予期していなかったことだらけだったのでビックリしていました。私が何故イギリスが離脱するのを現実的に考えていたかというともちろんイギリスで色々と移民関係で辛い目に合い続けていたからなんですけれども(個人的にはビザ問題で採用を見送られたケースが数えきれず、言葉にできないくらい悔しい思いをしました)、国民投票前はこの移民冷遇という傾向はもちろんイギリス人としては移民を排除したいという目線で見ている訳ですし、EUからの移民についても冷遇傾向があるのを知りつつも実害がなかったので表面にありありと出て来なかったのではないかと思います。ただ我々、non-EU migrantsにとっては切実な問題でして、2011年ごろからずるずると年々状況が悪くなって去年あたりから英メディアでは移民の削減に関してのニュースのオンパレード、ロンドン中心部の地下鉄では人権団体が移民差別問題や移民の地位向上を目指したキャンペーンをかなり大々的に行っており、ターゲットになる層としては「何を今更…」というぐらいイギリスの近年の保守的反移民の傾向は痛いほど、否、呆れるほどに感じていたので「離脱」という結果はイギリスやヨーロッパの皆さんが考えるほどには意外ではなかったのかもしれません。
しかしBrexit決定後なにが起こるのかというのは全く未知でした。
ドイツにいるイギリスの若者のなかに私の頭でっかちでなイギリス政治シュミレーション以上の切実とした悲しさを見ることがあり、知人のいう「もともと制約があったものが自由になるのではなく、もともと自由であったものがなくなるというのは絶望的でしかない」というのは一番的を得た言葉だと思う一方で、投票後の当事者たちの醜態、例えばイギリスでの人種差別のヘイトクライムの増加、残留派からの「高齢者、労働者階級(または低学歴)」への差別的発言、民主主義や国家といった基本的なことをガバッと端折って思い通りにならなかった結果を無理矢理どうにかしたいという荒い発想で主に支持されているロンドン独立や再投票(こちらは先日正式に却下されました)などが目に付き、ますますこのBrexitに呆れておりました。個人的に一番ビックリしたのはスコットランド、北アイルランド、ウェールズ?!のGreat Britain (and Nothern Ireland)からの離脱意思です。EUとイギリスの問題だと思っていたのに、国家解体にまで話が進んでしまったのは本当に残念でした。
最近よく目にするのは「イギリスがヨーロッパでなくなる」、「私たちはヨーロッパ人だ」という運動なんですが、Brexit後もイギリスはヨーロッパの一部であり続けるし、あなたがたもヨーロッパ人であり続ける思うのですが、残留支持の根拠を古代ギリシャやローマを求めるあたり頭でっかちヨーロッパ人らしいと思うと同時に現実的な話それは非ヨーロッパオリジンのヨーロッパ人に対してOffensiveであるし、時代錯誤と思うんですがどうなんですかね?元々現代の世界におけるEUという組織やユーロに加入しつづけることがギリシャをはじめとした南欧と東欧で負担になっている、または離脱したいという話はイギリスだけに留まらない話だったはずなんですが状況が複雑になるにつれ由来を古代に求めたり、ナショナリズムに話を持っていく傾向は現在のヨーロッパの各国傾向も含め心配になります。特にこちらにいる非ヨーロッパ起源の非ヨーロッパ移民としては立場上更に他人事ではなく自分に関わる問題として受け入れなくてはなりません。(もちろんI am an European の活動などに参加されている方全員が同じ思想を持っているとは思いません。私の知り合いなんかはかなりAnti-Nationalismですが表現方法としては似たような言葉を使用します。)
私のヨーロッパの友人はまだ多数イギリスに住んでいます。幾つもの違う意見が混在し、誰かの希望は誰かの失望となってしまうBrexit後のゴタゴタの中でまだまだ先は不透明なことが多いのですが、個人的に移民問題に関しては反移民の傾向がかたちにならずにぐずぐずと続くよりは痛みが伴いましたが、国民投票で白日のもとにさらされたのはよい機会だったと思っています。国民投票後にヘイトクライムが増加するほどに移民に対する人権意識が腐食していたのがこれがなければ気付かれなかったかもしれません。
このBrexitの投票がイギリスを更に鎖国に進ませるのではなく、なにかの弾みとなって少しでも良い方向に変わるためのチャンスになってほしいと思います。
追記:
これからどうなるかなんてイギリス人でもわからないと思いますがメモだけ。
Theresa Mayは内相時代より強硬な移民政策をとってきています。悪名高い"Go-Home Van"を街中で走らせたことで有名で、いまやnon-EUの移民にとってイギリスに残るのは至難の技です。彼女にすれば血眼になって進めている移民削減政策もとうとうEU移民削減にたどり着けた…という感じでしょうか。イギリスに現在居住しているEU移民も今後の滞在について楽観視はできなさそう。EU移民が同じ土俵にあがればnon-EU移民にもチャンスがありそうな響きですが彼女はなかなか手強いのでどうなるでしょうかね?イギリスに労働ビザで移りたいと思う人はまだまだ他のヨーロッパの国で様子を伺いつつスキルアップしていったほうが現実的だと思います。
追記 2:
アイルランドとイギリス間の移動の自由は保証されるそうです。
UK’s new immigration system may not be points-based, says minister
0 件のコメント:
コメントを投稿