モロッコ旅行こぼれ話
サハラ砂漠ツアー
これほどまでに興味がなかったものもなかった。結果としては私史上最もワイルドな自然に行って、宇宙が見えるんじゃないかというほど綺麗な星空が見えてもう今回で満足でございます、という感じなのだが、砂漠までの珍道中はそれと並ぶくらい思い出となった。まず出発の朝ホテルに迎えにきてくれたバンが旧市街に着いたと思うと中途半端な場所でおろされて無数の観光客にもみくちゃにされたと思うと見知らぬ人から別のバンに乗れと指示され、満員のバンに乗り込んだ瞬間、「あれ、これ砂漠行きじゃなくて奴隷市場行きかもしれないな。」という考えが自然に頭をよぎってしまった。それほどまでにモロッコを信用していなかった。結局このバンのメンバーとは三日間一緒に過ごし、戦友となったのであった。
この戦友というのがカナダケベック出身のフランス語しかかたくなにしゃべらないカップルと陽気なルクセンブルクのおばさまグループとドイツのバックパッカー、マラケシュ出身のいいとこの娘さんと謎のアジア人3人(我々)だったのだが、すごいのはこのルクセンブルクのおばさまたち。人に合わせて言語を変える。ケベックのカップルとモロッコ人にはフランス語、ドイツのバックパッカーにはドイツ語、我々には英語、自分たちはルクセンブルグ語(響きはドイツ語にかなり近かった)を話す。それに加えてノリがいいのでベルベル人の演奏中は踊りだすし、無理矢理連れて行かれた絨毯工房ではグループ代表として苦言を呈して、みんなをリードする役目を買って出ていた。いや、ルクセンブルクの人がこんなにパワフルだなんて知らなかったよ…。(もっと貴族っぽい、保守的な人たちなのかと思ってた。)
ツアーは典型的なツアーで、違うバンに乗ってた人たちも3日間ほぼ同じルートだった。
一日目はマラケシュを出発し山を越えつつ、幾つかの絶景スポットと古い集落をベルベル人に案内してもらった。こんな遺跡にもかかわらず頂上にヒッピーがコミューンみたいのを作っていたのが印象的。夜は通称ゴージャスホテルという山の中の極寒のホテルにて凍える。ちなみにご飯はまずかった。このゴージャスホテルはどうやらマラケシュからの砂漠ツアー御用達みたいなのでみなさんも泊まる機会あるかも。ご注意ください。
二日目もまたまた古い集落に行き、絨毯を押し売られる。(買ってはいない)。二日目の集落は観光地とはいえみんな生活しているようでベルベル人の働きっぷりに感動。お昼を食べて日が暮れる前に砂漠へ移動!
砂漠につくとすでに獣臭い。大きな荷物をみな預けて、らくだに乗る。この時点で若干寒かった。らくだに乗りながら砂漠で夕暮れを見る。いやほんとうに絶景ですね。ベルベル人の引くらくだに乗ること二時間、夜になってきたところで宿泊地のキャンプに到着!トイレがあってひと安心。少し砂でザラザラしているけどベッドもきちんとあって感動。寄るご飯はベルベル人のみなさんが準備してくれたタジン。このタジンがこの旅で一番おいしかった。二時間も歩いて来て料理を用意する働き者のベルベル人。ご飯のあとはベルベル人の演奏を聞いて、ルクセンブルクのおばさまが踊ったり、私も太鼓叩いたり。(ベルベル人はぜったいにフジロックに連れてくるべき。)その後はベルベル人と夜の砂漠のお散歩にも行き、お話しました。
突然のベルベル人情報コーナー:
◯都市部に移住するベルベル人もいる。なかにはサハラ砂漠から結婚して東京に移り住んだ人も。一部のベルベル人は飯田橋のタジンやというタジンレストランで働いているのでぜひ行ってみてください。http://www.morocco-tajinya.com/
◯ノマドのベルベル人は学校に行っていないが観光客とコミュニケーションのために何カ国語も話すことができる。
◯ベルベル人は一人で砂漠を歩いていても迷わない。夜でも砂漠を歩ける。ちなみにgoogle mapsは嫌いだが、街に戻ればスマホ使いの普通の若者に。尚、もしツアー中に単独行動で砂漠に迷い込んでしまった場合は迷った場所でじっと待っていればベルベル人が助けに来てくれるそうです。なので砂漠で迷っても動き回らずにじっとしていること!
◯モロッコもアルジェリアもサハラ砂漠内は国境を関係なく歩けたが今は不可能。
◯天候の関係で遊牧(ノマド!、本物のノマドだよ!フリーランスノマドワーカーなんかではないよ!)を辞めた人は街に家を持って家畜などを売って生活している。
◯この観光客相手の商売は夜型のシフトなので一日は観光客をつれてくる夕方からはじまり、観光客を街に戻して朝仕事を終える。昼の間は街に住んでいる。
三日目、みんな寒すぎるし、朝早すぎてほぼ寝ていない中またらくだで移動。来た道を戻り、またバンに乗り込む。ここで予定を変更してFesに行くみなさんとお別れ、しかし謎のスポーティーなドイツ人カップルが加わりバンのなかの公用語がドイツ語になったところで出発。
三日目はほぼ観光なしでひたすらマラケシュに向かう。ちょこちょこ停まった場所でもれなくぼったくられながらマラケシュ到着。
典型的インドア派のわたしができる最大限まではがんばりました。大人になった。
典型的外国人の観光 in マラケシュ
まさか自分にこんなときが来るとは思ってもみなかったが、モロッコでは完全にお金持ちの外国人観光客枠に入っていた。個人的には不本意な外国人観光客枠の加入だとは思っていたのだが実は知らないうちに典型的外国人観光客用スポットにもなんの考えもなく行っていたのは情けなさ過ぎて笑える。
まずマラケシュの新しくてトレンディーな典型的外国人観光客スポットと言えばイブサンローラン美術館である。実はこの美術館、訪れる前から建築系webマガジンでちょくちょく目にしており、素敵な色と素材使いだななんて思っていたのでマラケシュに行くのだから寄らなければとマラケシュ到着後すぐに行ったのだが、チケットがイブサンローランのお手入れしていたお庭の見学込みで180ディルハムする。2000円ぐらいならば普通と思うなかれ。こんな値段では現地の人は誰も見に来れない。よってチケットを購入する長蛇の列もなんだかイブサンローランで服買いにきた、みたいな人しかおらず。わたしはこの雰囲気に慣れず終始おどおど。しかしこれはまだまだ序の口だった。
次に行ってしまったのはH&M。事前の調査をしないままマラケシュに来てしまった私はどうしても暑くて洋服を現地調達しようと考えたのだが、またもやまたもや薄いズボンを買ったときに気づいてしまう、あれ?これ400ディルハムもするの?!そんなお金モロッコで使ったことない…。モロッコでH&Mはまあまあのおしゃれな”ブランド服”なのであった。そういえばH&Mが入ってるショッピングセンターも日本でよく見る風の建物とはいえ、マラケシュの他の建物とは全然違った。砂漠ツアーから帰ってきてモロッコに慣れてきたころにはH&MもZARAもみんな高級ブランドのお店に見えてきたのが不思議。
そして最後の極めつけが高級モロッコ料理。
一緒に行った友人がレビューの高いレストラン見つけたから事前に予約しといたというので行ったレストラン。旧市街からよれよれの服で歩いて向かったのだが、歩いているうちにどんどん景色が変わっていく。あれ?これ本物のイブサンローランのブティックでは?こちらにはルイヴィトン?しかしgoogle mapsはルイヴィトンの裏あたりにレストランがあると言っている!本当なのか!?
と思ったらありました。警備員が門に張り付いているレストランが。
我々は完全にドレスコード違反、なんなら浮浪者のような格好をしていたのでさっき買ったばっかりの外履きバブーシュに履き替えたりしてもぞもぞしていると警備員に注意される。
中に入るとまあ豪華。白人のお客さんだけがわいわいしている中、生演奏をしている一画なんかもあり。我々はローカルのおじさんが持っているかばん持ってたりしていたので完全に見下されていたがとりあえず超豪華タジン鍋とビール(すみませんね)を食し帰宅した。なんだろうかこの心地悪さ。物価さえ違えばバブリーな場所ではしゃげる感じ。ちなみに一人300ディルハム。3000円の食事はまあ高いけれどこれで嫌みな感じで豪遊していると思うとなんだか辛かった。きっとあのレストランにいた白人の観光客も半分以上は庶民なのよ。
Deutschland in Morocco(ドイツ in モロッコ)
(ドイツ人に占領されていた、素敵なHouse of Photography in Marrakech)
モロッコに着いてわかったことは、ヨーロッパ人観光客コロニーということ。
日本人の観光客もまあまあいたのだがその他のアジア圏の観光客はかなり少なかった。
そして今回はとにかくドイツ人が多かった。(次いでスペイン人)
砂漠ツアーもドイツ人が多かったし、街に出てもドイツ語が聞こえる。
実は今回の旅の仲間はみんなドイツはベルリンで会って今は別々の場所で暮らしている友人なのでなんとなくベルリンを思い出してみたり。
ところでマーケットの休憩がてらに行った写真ギャラリーのカフェでのんびりしていたらいつものごとくドイツ語が聞こえてきたのだが、なんと我々以外カフェにいる客全員ドイツ人だった。しかも特にみな気をかける様子もなく各々ただダラダラとおしゃべりしていた。
そういえば以前ドイツ人の友人が「ニューヨークに旅行に行って、アメリカ人が沢山いるのを見て興奮してたらドイツ語しゃべってた。がっくりした。」って言ってたな。
こんな場所でドイツを意識するのもまた不思議なことである。
モロッコ雑貨:ぼったくり連鎖現象
モロッコ旅行とぼったくりは切っても切り離せない。それはいいのだが、砂漠ツアーがあまりに疲れて残りの二日間毎日スークに行って雑貨見ることしかできなかった。そのためにかなりの時間をゆったりお買い物に費やすことになり、二日目が終わる頃にはモロッコ雑貨のプロにまでなったような気分だったのだが、ショックな出来事が起きたのは帰宅後のことだった。
このモロッコ旅行のあとベルリンに語学留学しに行ったのだが、ある日とあるベルリンのおしゃれ雑貨店に行くと見慣れたものが…。見たものは紛れもなくあの灼熱のモロッコで見た、そして購入した雑貨だったのである。しかし感動のご対面…とはならない。
高すぎ!!!!
デンマークのインテリアブランド、HAYのシールがおしゃれーについている雑貨達ですが、4€ほどで買ったかごは45€、6個で10€で売られていたグラスは一つ7€などなど。まずモロッコの値段だって観光客価格なうえに、それを大幅に上回るヨーロッパで売られているモロッコ雑貨。ほんとうに製造している職人さんにきちんとお金が入っているのだろうかと心配になりました。ちなみに日本で売られているモロッコ雑貨もヨーロッパと大差がないそうですが、日本は遠い分物流などお金かかりますからね…(泣)、とはいえども…。
最後にモロッコで購入した雑貨の一部をみせびらかして終わりとします。
上:モロッコ人いわく「外履き」
下:手作りグラスとかご
(尚、女子っぽくみせかけていますが、女子力ゼロです。)
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